1919年 大杉栄、演説会もらい。

1919年 4月21日 ○府下北豊島郡王子町所在王子演芸館に於て杉原正夫の主催に係る労働問題演説会に出席し居たるに下村の演説中社会主義を論難する如き口吻ありしかは大杉栄、久板卯之助、石井鉄治、吉田一、延島英一等数名は演壇に押寄せ延島の如きは演壇にありしコップを投げ付くる等暴状を敢えてし大杉栄は主催者の許しを得て自ら演壇に立って下村の説を反駁し且つ自己は社会主義者にあらす自己の主義は他にありて先つ労働者の生活改善を為さむとするにあり労働者は今日の生活即ち時間の制限賃金の要求工場の設備を改善せしむるに在りと述へて壇を下れり